淡色の少年

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そんなこともあり、学級委員長として彼に用件を伝えることはあっても、友人として親しくするのは億劫だったのだ。 並んで給食を食べていても、僕達の間もあるのは食器をカチャカチャ鳴らす音だけになる。 気まずい。 何とか話題を振らねばと考えて、紙飛行機の事件を思い立った。 「この前の、藤堂が飛ばした……」 「紙飛行機、よく飛んだでしょ。僕も今、そのこと言おうとしてた。気ぃ合うね」 すぐ微笑む。 きまりが悪くなって、目を逸らした。 それでも彼は笑顔を絶やさずに食事をする。 気味悪い奴。僕は妙に苛立ってきた。 「あれね、僕のおじいちゃんが折り紙協会に入ってて教えてくれたんだけど、どこで折れば一番飛ぶのかって計算で出すんだよ。 すごい難しい式で全然わからないけど、要は慣れなんだって、おじいちゃんが言ってたんだ」 ゆっくりと時間をかける話し方は、声が小さいために煩くはない。 しかし苛立ちは深まっていく。 やめればいいのに、 少女のように優しく軽く振舞うのをやめて、 そのくせ紙飛行機なんか授業中に飛ばして存在を主張するのもやめて、 全てやめて、 子供は子供らしく怒り狂ったり泣きわめいたりすればいいのに。 どうしてか腹立たしさが込み上げて、途中から彼を無視した。
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