雨色の少年

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小学校の廃校が決まったのは、中学三年生の梅雨前だった。 誰もいなくなった校舎は、住民の反対により取り壊しが順延されていた。 工事が始まるまでは、裏門から自由に出入りができた。 僕は時々、五年生の新学期を過ごしたあの教室の床に寝転がる。 机も椅子も撤去されたがらんどうの教室には、 僕が藤堂の色鉛筆を捨てた証拠もとっくに残っていない。
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