淡色の少年

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梅雨の日の午後、図画の時間に学校の絵を描く授業があった。 皆が灰色の校舎や深緑の木々を描いている中で、藤堂縁だけは校舎を水色で塗っていた。 窓はピンクや黄色、空は黄緑。 幼稚園児が描くような絵だ、本当にバカなんだな、と心の中で悪態を吐いた。 五年生にもなれば、まわりを見渡して自分だけ違う色使いをしているくらい分かるだろうに。 退礼が終わり皆が教室を出ていった後、僕は窓から彼の後ろ姿を見下ろしていた。 黒と赤のランドセルの群れの中、一人ふじ色のランドセルを背負い、かけていく。 あの色のランドセルは高価で、親にねだっても買ってもらえない子がほとんどだった。 あいつの家庭では、半分しか学校に来ない奴のわがままが通っているのか。 僕は彼の机の引き出しから、色鉛筆を取り出した。 ほんの出来心だった。 その平たいケースを開け、十二色の色鉛筆をすべてゴミ箱に捨てた。 翌日から、彼が学校に来ることはなかった。 下校途中に誘拐の可能性を残して、いまだ行方不明になっている。
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