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「っ……!!」  瞳ははっと目を見開いた。部屋中に、耳をつんざくような、けたたましい音が響いている。 「はぁ……目覚まし……」  大きく息を吐き出しながら、目覚まし時計のアラームを止める。動悸が速い。身体が冷えていた。 「……寒い」  ぼそりと呟いて、再び布団の中に潜り込む。  ――……そうだ、お守り…。  ふと瞳は腕を伸ばして、目覚ましの横に置いてある桜色の玉を掴んだ。直径二、三センチのそれをぎゅっと握り込んで、動悸が治まるまで、縮こまって待つ。  ――怖かった……。  我知れず息を吐く。 「姉ちゃーん。おきてるー?」 「……」  階下から呼ぶ声がするが、だんまりを決め込む。(うめ)きながら頭まで布団を被った。まだ身体は冷えていたからだ。けれど、呼び声は終わらない。 「姉ちゃーん、おきろーっ。ごはんできてるんだよー。……今日入学式でしょー」 「――……。うわっ、そうだった、遅刻!」  一瞬黙り込んだ後、弾かれたように飛び起きた。慌ただしく部屋中を駆け回る。  いつもよりも長い春休みの間に、すっかり寝坊癖が付いてしまっていた。かといって、普段はそうでないと、言えるわけでもないのだが。     
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