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「ここは足場が悪い。足元には気を付けろ」
「あ、すみません……」
思わず殊勝に謝る瞳の声に被せるように、少年は「それに」と続けた。
「ここは麓より暗くなるのが早い。あんたは引き寄せやすそうだ。さっさと帰れ」
「なっ、帰れって……っ!」
少年の言い方が気に入らず、瞳は思わず言い返そうとした。
その時、ざっと音を立てるように急に周囲が暗くなった。それに意もせずぞっとする。単純に太陽が雲に隠れただけなのかもしれないが。
「……わかりました」
薄ら寒い感覚を味わってしまったので、瞳は大人しく少年の言葉に従うことにする。もう一度少年に頭を下げて、瞳は御神木を後にした。
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