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「ただいまー……」  鍵を開けて家の中に入るが、中はしんとしている。 「あ……誰もいないんだった……」 「ひっとみ!」 「うわっ!! 吃驚したぁ……。ちょっと、おどかさないでよ。って言うか、今までどこにいたの?」  階段を上がろうとした瞳は、ライチの突然の顕現に驚いて、思わず声を上げる。 「わりィ、わりィ。姿を見えなくしてただけで、本当はずっとそばにはいたんだけどな」  ライチは苦笑いしながら腕を組む。 「普段は姿消してるけど、呼べばいつでも出てくるから。必要な時には呼べばいい」 「うん。わかった」  応じながら階段を上がり終え、部屋の扉を開ける。机の上にリュックを下ろした。 「――で? なんでいきなり出てきたの? 会ってから間もないし、意味もなく出て来たってわけじゃないんでしょ?」  そう言いながら着替え始めた瞳を見て、ライチは一つ唸る。 「うーん……。勘が鋭いなぁ」  そう言いながら腕を組む。瞳が着替えるのを待ってから、ライチはぱちんと指を鳴らす。ベッドの上に何かがふわりと落ちた。 「……? 何? これ?」     
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