1人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
4
「ただいまー……」
鍵を開けて家の中に入るが、中はしんとしている。
「あ……誰もいないんだった……」
「ひっとみ!」
「うわっ!! 吃驚したぁ……。ちょっと、おどかさないでよ。って言うか、今までどこにいたの?」
階段を上がろうとした瞳は、ライチの突然の顕現に驚いて、思わず声を上げる。
「わりィ、わりィ。姿を見えなくしてただけで、本当はずっとそばにはいたんだけどな」
ライチは苦笑いしながら腕を組む。
「普段は姿消してるけど、呼べばいつでも出てくるから。必要な時には呼べばいい」
「うん。わかった」
応じながら階段を上がり終え、部屋の扉を開ける。机の上にリュックを下ろした。
「――で? なんでいきなり出てきたの? 会ってから間もないし、意味もなく出て来たってわけじゃないんでしょ?」
そう言いながら着替え始めた瞳を見て、ライチは一つ唸る。
「うーん……。勘が鋭いなぁ」
そう言いながら腕を組む。瞳が着替えるのを待ってから、ライチはぱちんと指を鳴らす。ベッドの上に何かがふわりと落ちた。
「……? 何? これ?」
最初のコメントを投稿しよう!