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つややかな肌、まるで世の中のすべてを見通せるかのような、凛とした瞳。そして、横にいる男に話しかけている、抑揚がないけれど、透き通った女性らしい声・・・・
そんな魅力的な容姿をしていた彼女に、僕は目を奪われてしまった。
そんな彼女の横にいたのは、偶然にも僕と同じ学校、そして同じクラスの男だった。
他人に興味が無いが故に、名前までは分からなかったが、ボサボサの柳の木のような髪の毛をしていたので、他の奴らに比べると、多少なりとも印象に残っていた。
そんな彼は、先ほど僕が見とれていた彼女を抱きながら横断歩道を歩いていた。
その光景を見た瞬間、僕の心は、激しい嫉妬の心で埋め尽くされていた。
こんな感情を抱いたのは、生まれて初めてだった。
結局、僕はその2人の様子をじーっと見つめていただけだった。
家に帰り着いたとき、すでに心は沈んでいた。
いつもなら、ハーバードの過去問題を解くのが日課だが、今はとてもそんな気にはなれない。
階段を上がり、自分の部屋に入った瞬間、バッグを床に放り投げ、ベッドにダイブして、ふとつぶやいた。
「あの子を、僕の彼女にしたい・・・」
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