僕の彼女

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僕が必死になって走った成果なのか、神様が僕にお情けをくれたのか、それは分からない。 だが、彼女は助かった。 彼女の介抱を担当してもらった人によると、昨日は小降りながら、雨が降っていたため、もう少し 遅かったら手遅れだったそうだ。 その言葉を聞いた途端、僕はうれしさからか、彼女を介抱してくれた病院を出て、家に帰った時、ここ数年一滴も出なかった、涙を流した。 そしてこの出来事の一週間後、彼女は僕の隣にいた。母親は厳しいので、許してくれないかと思ったのだが、返ってきたのは、「あなたももう高校生だし、もういいとおもうわ」という、今まで聞いた中で一番ありがたく、そして温かい言葉だった。 今まで他人なんてどうでもいいと思ってきた自分が、まさか彼女を作ることになるなんて、思ってもみなかった。どうやら周りもとても驚いていたようで、僕に好奇の目を向けてきた。 実際彼女と付き合ってみてわかったことがいくつかあった。彼女は僕よりもはるかに物知りで、自分の自慢だったはずの頭脳も彼女の足元にも及ばなかった。 彼女はおとなしい性格なので、自分から話しかけてくることはいっさいなかったが、彼女と話していくうちに、次第に僕の心は変わっていった。 人と付き合うことは、決して悪いことじゃない、むしろいい方向に進むための一つの選択肢なんだ。 そう思えるようになった。僕は僕を変えるきっかけをつくってくれた彼女に感謝している。次の週末は彼女と一緒に水族館に行って、イルカショーを見るつもりだ。彼女は写真を撮るのも得意らしいので、早く週末がこないかと心待ちにしている。 最後に一つだけ、目の前にいる彼女に向けて、言わせてほしい。 愛しています。
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