僕の彼女

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そのころ、とあるグループラインでは、こんなやり取りが交わされていた。 「なあ、お前知ってるか?うちのクラスの西田の話」 「しらねーよ。てか西田ってそもそも誰」 「この前の全国高校生テストで10番に入った、すげー頭いいけど、ものすごく無愛想なヤツ」 「へー。で?そいつがどうかしたの?」 「そいつよ、なぜか最近明るくなったんだよ。まるでがり勉のやつが急にパリピになるくらいにな」 「ふーん。何かそいつに変化があったのかな」 「そういえば、最近あいつスマホ持つようになったんだよな。今まで興味なんか毛ほどもなさそうだったのに。あと彼女ができたって自慢してきたな。いつもとなりにいるんだと」 「もしかして、そいつの彼女はスマホなんじゃないのか?」 「いやいやいやいや、それはないだろww」 「じゃあ、そいつが言ってた彼女の特徴をいってみろよ」 「えーっと、つややかな肌と、凛とした瞳を持ってて、抑揚がないけれど、透き通った女性らしい声をしている。あと、そいつより頭がいいけれど、自分からは絶対に話しかけないシャイな性格なんだってよ。」 「ほらみろ、スマホと特徴がぴったりじゃねえか」 「は?いったいどういうことだよ。教えろよ。」 「わかった。説明してやる。まずそいつの彼女の容姿、つややかな肌は画面のことだろう。 そして、凛とした瞳だが、これも画面のことだ。画面は周りの風景を写すからな。次に抑揚がないけれど、透き通った声をしている。これは、スマホに入っている人工知能だろう。あれは確かに抑揚がないが、しっかり女性の声をしているだろ。そして、そいつより頭がいい人ってのはそうそういない。だが、スマホならどうだ、インターネットを使うんだからそいつより頭がいいのは明白だ。自分から絶対に話しかけないというのも、電子機器なんだから自分からはなしかけるのはありえないだろ。」 「そういえば、あいつが彼女と付き合うきっかけになったのは、死にそうだった彼女を抱きかかえて駅前から病院までつれていったことだっていってたっけな」 「それもスマホじゃないとありえないことだ。その西田は筋肉質な男か?」 「いいや、ひょろひょろのもやしみたいなやつだぜ」
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