第四章 日程と収入

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「何?」 「ちょっと」  言いながら財布を出し、 「百円玉、持ってる?」  中身を確認して、円に問いかける。首を傾げたまま、円は財布を取り出し、 「一枚ならあった」  それを隆二に手渡した。 「ありがとう。借りる」 「あげるわよ、百円ぐらい。ってか何、ガチャガチャ?」  軒先きに数台並んだガチャガチャの機械。その一つに、隆二は自分の分と合わせて二枚の百円玉を入れる。 「美少女四字熟語シリーズ、ラバーストラップ?」  書かれた文字を読んだ、円の語尾が怪訝そうに跳ね上がる。  真緒の好きな特撮ヒロインものだ。この前スマホで見ていた動画も、これ関係のものである。 「真緒がこれ、全部揃えようとしてるんだ。だけど、うちの方ではもうなくって」  ハンドルを回す。がこん、と音がしてカプセルが落ちてきた。 「中野にでも行けば、バラで売ってるんじゃないの?」 「ガチャガチャを中身わかっている状態で買うのは、夢がないからダメらしい」  取り出したカプセルの中を覗き込む。それから、機械に貼ってある紙と見比べ、 「よし」  小さく頷く。ここに載っていないもの、シークレットだ。ようやくこれで揃った。 「……なんかわかんないけど、よかったわね」 「ああ、ありがとう。……ついでにこれ、カバンに入れてくれると嬉しい」  ズボンのポケットに財布とケータイをしまっているだけで、手ぶらの弊害がここに出た。 「はいはい」  円がカプセルをカバンにしまう。  再び連れ立って歩きながら、 「私、あなたの感情はイマイチ読み取れないんだけど、今は楽しそうだなって思うわ」  軽く苦笑すると、円が言った。
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