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私にまとわりつく霊の正体は、せっかくホワイトデーのお礼として買われたにも関わらず、手渡されることなく粉末状態となり、哀れな男子学生の鞄の奥で圧縮状態になっているクッキーの霊と「でも、言うのだろうか?」とのことだった。
霊の正体が分かったので、とりあえず、呼び出して言い分を聞いてみることにした。
ネコヤナギに似たウチのネコのおもちゃを机の上活けた。次いで段ボールを長方形に切り、ひらがなで「おはか」と書いて、ネコヤナギの下に置いた。
柳とお墓、これで、霊が好んで出現しそうな場所は私の机の上に再現できた。
気分を盛り上げるためYouTubeで映画エクソシストのテーマをエンドレス再生することにした。
あとは、深夜、クッキーの霊が出現するのを待つだけだった。
深夜2時、「もっと、ちゃんとやろうよ」な召霊環境にも関わらず、成仏できないクッキーの霊が出現した。
実体化したクッキーの霊を見た瞬間、私は激しい殺意を覚えた。
そのクッキーは、そこいらのコンビニで売っている国産メーカー380円(税込み)の商品だった。
「テメェ、コラぁ、国産の安物クッキーのくせに、私に取り憑いてんじゃねぇ!!」
「テメェと私じゃ、住んでる世界が違いすぎるんだよぉ!!」
外資系企業で働く姉にはボーイフレンドと書いて下僕と呼ぶ無償奉仕の召使が大勢いる。
その下僕の一人が、姉の関心を引こうと、妹である私に義理クッキーの変化球を投げてきた。
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