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そいつからもらった、お返し義理クッキーを鞄から取り出した。
義理クッキーと言えど、オーストリア皇帝「ハプスブルク家」の紋章をブランドマークに掲げるデメルのクッキーだった。
「オラオラ!!私に取り憑くんだったら、せめてこれくらいのモノは用意しな!!」
オラオラで追い込みをかけてると、国産コンビニクッキーの霊は次第に小さくなり、やがて消えていった。
表情は分からないがきっと泣いていたと思う、でも、そんなこと私には関係無い。
それでもたまに、スマホの心霊情報で、その後のクッキーの霊の目撃を検索したりもしていた。
クッキーの霊は未だに成仏できないでいるらしい。
ただ、あの夜の出来事がトラウマとなり、以来、生身の女性には怖くて取り憑けなくなっていた。
そのため、最近ではアニメの萌えキャラやフィギュアなどのオタクネタに好んで憑依しているらしい。
成仏できないクッキーの霊は、アキバ周辺での目撃情報が多く、同街に集まる同類のオタク集団たちと仲良くやっているとのことだった。
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