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「おたんこなす」の危機
とうとう、神崎はブチキレた。
無理もない。彼は、岡崎祐輔と伊藤翔の
「期待して下さい」
という言葉を信じて、かなりの重労働を強いられたのだ。なのに結果は・・・・・・・。
「キレるな」
という方が、無理がある。
「『おたんこなす』を切って下さい!」
劇場の廊下で神崎が、プロデューサーの真島に直訴している。
「あいつらは、これ以上飼っていても無駄です!ギャラをドブに捨てているようなものです!決断して下さい!」
神崎が捲し立てているのを、岡崎と伊藤は項垂れて聞いている。彼等も、今日のネタは絶対にウケる自信があったのだろう。それが「催眠術」となり、おまけに舞台監督からは
「あいつらを切って」
といわれている。他の芸人は、同情の目を向けている。神崎は厳しい人だが、あそこまで怒らせたのは「おたんこなす」が初めてなのだ。
「マジで神崎さん、怒らせたよ」
ヒソヒソと話し合っている。「おたんこなす」の二人は、どういう心境か。
そんな岡崎を深澤摂は、切ない思いで見つめていた。
もし真島が神崎の直訴を受けて、「おたんこなす」を切ってしまったらどうしよう。もう岡崎に会えなくなってしまう。
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