第3章 必然の遭遇
全4/14エピソード・連載中
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『せっかくすんげぇ綺麗な可愛い子なのに愛想が無いのが痛いよな』 『まぁ、こんな山の中でひっそりと画家なんてやってる変わり者だろ?』 ひそひそと話す彼らの声は扉越しにも聞こえている。マナは銀狼のキャンバスに囲まれた部屋で、椅子に腰かけながら足を囲んで小さく蹲る。 (いいから、早く運び出して出って行ってくれないかな) さっきからドキドキと嫌な音を立てている心臓と見知らぬ彼らの気配が落ち着かない。 (いつものお爺さんはどうしたんだろう?今日は雪が深いから来れなかったのかな?) コン、コン 扉をノックされた音だけでマナの身体は過剰にまで反応し、椅子から転げ落ちそうになった。 「全て運び出しましたんで、サインをお願いします」 慌てて小さく返事をしながら少しだけ扉を開けて、伺うようにそっと顔を出す。指先が震えないように内心で叱責しながら、小さな書面にサインを施した。 「あ、あの。いつものお爺さん、セダムさんは?」 うっかり訊ねている自分に少し驚くが、それほどあのお爺さんが気になっていたのだ。 「ああ。今日みたいな雪の日はちょっと危ないんでね。俺らが代行したんですよ」     
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