【泣きぼくろ】

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「え、ええっ?!!」 私は! 突然の鈴木さんのその言葉に、めちゃめちゃ驚いてしまった! 鈴木さん… し、死ぬつもりだった… なんて…。 鈴木さんは… とつとつと、語る。 「ワシは… 婆さんを亡くして、すっかり生きる張り合いが無くなってしまったんじゃ。 とっとと死んで婆さんの元へ行こうと考えていた。 今まで、ワシは… 自分一人が婆さんや家族を食わしてやってる。ワシのお陰で皆が、生きて行けていると思っていた…。 ところが、どうじゃ! 婆さんが死んで、いざ一人になってみると、自分では掃除もできんし、飯も作れやせん! ワシは、自分がほとほと情けなくなった…。 婆さんがやるような仕事もワシには、できんかったのかと」 いつの間にか… 鈴木さんの両目には、うっすらと涙が浮かんでいた。 その涙が、右目の泣きぼくろの上をすうっと流れた。 「しかし、な! 今回、三浦さんに味噌汁の作り方を教わって、婆さんの大変さが改めて分かったんじゃ! 婆さんがやっていた仕事は、決して楽なもんじゃなかったんじゃな! 婆さんは… こんなにも大変な仕事を毎日毎日、何日も何十年も… ワシや家族の為に、文句一つ言わずに、やってたんじゃな…。 それなのに!! ワシは…ワシは… 今まで、一体、何をしてきたと言うのじゃ! そんな婆さんの苦労を知ろうともせずに、『自分が食わしてやってるんだ』と、偉そうにしていた」 「………」 いつの間にか… 鈴木さんの言葉を聞く、私の目にも涙が浮かんでいた。 「だから…な」 と、そこで鈴木さんは、にっこりと微笑んだ。 「ワシは、死ぬのを止めたんじゃよ! これから、自分で料理や洗濯や掃除を覚える! そして、婆さんの苦労を噛み締めて感謝しながら生きて行きたい! それこそが、婆さんに対する本当の供養だとは思わんか?! だから! これからも、いろいろと教えてもらえんじゃろうか。三浦さん…」 「え、ええ! もちろんですとも!こちらこそ、こちらこそ!これからもよろしくお願いします!」 私も、両目から溢れた涙を拭いながら、力強く頭を下げたのだった。
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