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最近…
私と夫の敏夫の間には、
何となく『距離』みたいなものが、出来てしまったように思う。
『距離』が出来たと言っても…
それは、イコール『溝』が出来てしまったと言うのとは、また違う…。
決して、私たちの夫婦仲が、冷えてしまった訳ではない。
むしろ、私たちは今でもお互いを深く愛している。
そして、愛しているがゆえに…
ある種の『距離』が出来てしまった…。
そう。
私と敏夫は、お互いがお互いに対して、ある種の『負い目』を感じていたのだ。
結婚して、今年でまる三年。
私たちは職場で知り合った。
当時、私はある養護老人ホームの職員として介護の仕事をしていた。
そして、そこに食品を納入していたトラックドライバーが敏夫だった。
私たちは、何度か会っているうち…
お互いに好意を抱き始め、そして交際を重ね…
今から三年前に結婚した。
しかし、結婚後も、
私は介護の仕事を辞めずに働き続けた。
私は、まだまだ今の仕事を続けたかったのだ。
私は元来、介護の仕事が好きで充実感と生き甲斐を感じていた。
十代の頃に、介護系の専門学校に通い、ヘルパー四級を取得し、今の老人ホームに就職した。
そして、そこで五年近く働きながら実務経験を積み、ヘルパー三級も取得した。
利用者のお年寄りの人たちは皆、良い人ばかりだし、職場の人間関係も凄く良い。
(殺伐とした介護の現場もたくさん有ると言うから、私は本当に幸せ者だ)
正直、仕事がキツい時も有るには有るが、それはどこの職場も同じ事だろう。
敏夫はその事に理解を示してくれた。
「僕は、正子が今の仕事を続けたいと言うのなら、全然、構わないよ。
家庭で専業主婦してもらうより、僕は働いている君にホレたんだもの。
それに正直、共稼ぎしなきゃ家計も苦しいしね」
こうして、私たち夫婦は結婚後も共稼ぎを続けた。
そして…
結婚して二年め…
つまり、ちょうど今から一年前に…
私は、妊娠をした!
「うわぁ!やったわ!あなた!」
「正子!でかしたぞ!」
念願の第一子!
私も敏夫も飛び上がって喜んだのは言うまでもない事である。
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