【泣きぼくろ】

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その上、鈴木さんは 物の考え方が偏った、典型的な『昔の男性』だった。 「良いか?女は、男の言う事に黙って従ってりゃ良いんじゃ!」 「男が働いて女を食わしてやってるんじゃ!女は男を立てて当然というものじゃて!」 「男は、外で浮気するくらいの甲斐性が有ってこその男じゃ!それに女は、つべこべ言っちゃイカン!」 何と言う… 男尊女卑な考え方だろう。 今のご時世、 もし、現職の校長先生がそんな発言をしたら、 たちまちPTAから猛反発を食らい、仕事をクビになっていたに違いない。 『なるほど…。 今まで、何人ものヘルパーさんが鈴木さんの担当を外れたがったのも分かる気がする。 それと、鈴木さんの奥さん…生前は相当、ご苦労なさったんだろうな…』 と、私は内心でそう思った。 しかし… 私は、そんな事で担当を外れる気は、さらさら無かった。 むしろ、ファイトが沸いてきて鈴木さんの家に通い続けたのだった。
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