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「うーん、ちょっとしょっぱいですねぇ。少しお味噌の量を減らしてみましょうか」
「そ、そうか…分かった」
「あ、玉ねぎはもっと薄く切らなきゃ。それじゃ煮込んでも固いままですよ」
「なるほど。こ、こうか?」
そうして…
私と鈴木さんの特訓は、
実に半月に及んだ。
そして…
そんな、ある日の事…。
「わぁ!美味しい!!」
私は、彼が作った味噌汁を味見して思わず感嘆の声をあげてしまった!
本当に、美味しい味噌汁だったのだ!
「鈴木さん!やりましたね!おめでとうございます!」
「うん!ワ、ワシは、遂にやったんじゃな!ありがとう!ありがとう!」
私たちは、手を取り合って小躍りして喜んだ!
「これもみんな、ヘルパーさん…いや!三浦さんのお陰じゃ!これでワシは毎日、婆さんが作った味噌汁を味わえる!本当にありがとう!」
鈴木さんは、本当に嬉しそうに微笑みながら、そう言った。
鈴木さんは…
初めて私の事を『ヘルパーさん』ではなく『三浦さん』と呼んでくれた。
その事が、私にはとても嬉しかった。
その日…
私は仕事を終え、鈴木さんの家をおいとまして車に乗り込もうとした。
すると…
「三浦さん」
珍しく、鈴木さんが家の外までお見送りに来てくれた。
「まあ!鈴木さん!
わざわざ、ありがとうございます!」
私が頭を下げると…
鈴木さんは…
至って真剣な表情で、
こう言ったのだ。
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