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あの人が選んでから、もう20年が経とうとしていた。
あの日から変わらず、今日も朝が来る。
誰もが望んだ朝、喜ばれた太陽。
変わらず訪れる夜、代わりに消えた月。
昨日も、その前も、その前の前も。ずっと変わらず繰り返してきたことを失った世界は、躍起になってそれを取り戻そうとした。
かつての自分もその内の一人であった。
仲間たちと共に旅立ったかつての幼い俺は、既に30歳を過ぎている。
朝を、太陽を取り戻すことを目的として発足された機関は役目を終え、今はほとんど無いに等しい状態である。
しかし、無くなったとは言えない。否、言わない。
あの日、太陽が上り始めたのと同時に姿を消した月を探すためである。
ある日突然、朝が来なくなった。
もうずっと昔のことだ。
そしてあの日、朝が戻り月が消えた。
20年前のことである。
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