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まだ若いのか体は小さく、汚れの無い漆黒の羽が陽の光を柔らかく反射している。
はは……、ついにおいでなすったな。
あの時見た、残酷な光景が頭をよぎる。
お前に喰われる、という事か……。
俺を見つめる、青く濡れ輝く瞳。
……!
この目は……
雨上がりの、瑞々しさを含んだ空の色に似た蒼。
お前……、もしかして……
「流雨か?」
しゃがれた声――声かどうかもわからない喉から出た音――で問い掛けると、カラスは少し首をかしげ、ちょんちょんと口ばしで優しく俺の頬を突いた。
そうか。
お前が言っていた通り、カラスは天の使いだったんだな。
そしてカラスに生まれ変わったお前は、今まさにこの俺を迎えに来てくれたのか……。
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