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次の日、小学校はお菓子を持ってくるのは禁止だけど、こっそり持ってくる子はやっぱりいる。昼休み、友達の優姫ちゃんが耳打ちしてきた。
「三組の前原さんがうちのクラスの迫田にチョコレートあげたらしいよ」
「え! 迫田に?」
迫田はよく先生にうるさいって怒られてるのに、好きだったのかな?
「まあ、顔はイケメンだもんねー」
「そうかなぁ」
あざかみさんの方がカッコいいのに。
「それって手作りだったのかな?」
隣の席の堀越さんが話に入ってきた。優姫ちゃんも詳しくは知らないみたいだ。
「どうだろー、でも小学生ってお金ないし手作りでしょ」
「重くない?」
すかさず入れてくる堀越さんの言葉の意味がわからない。私は思わず聞き返す。
「重いって、手作りのお菓子が?」
「うん、ウチのママが彼氏じゃない人に手作りを渡すのは重たい女だって言ってたもん」
「へー、じゃあ手作りは彼氏にじゃないといけないんだ」
優姫ちゃんが納得したような顔をする。その時私はこの場から今すぐいなくなりたいと思っていた。
私……重いんだ。
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