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ある日、学校が終わって校門を出ようとしていると、門の前で警備員さんが男の人と大きな声で話しているのが聞こえた。
「ち、違います! 変質者じゃありません!」
「じゃあ何なんですか! ずっと門で突っ立ってて! ご家族でもなんでもないのに!」
「ちょっと渡したい物があるだけなんです!」
「何が入ってるんですか? 変な物でも入ってるんじゃないですよね?!」
すらっとした背中の、くたびれたスーツのお兄さん。相変わらず、目にクマがある。
「あざかみさん?!」
「あ、芽里ちゃん! そう、彼女の知り合いなんです!」
あざかみさんが私を指差しながら必死に訴える。まだ警備員さんは疑いの目であざかみさんを見ている。
「あ、あの本当です。あざかみさんは知っている人で変な人じゃありません」
「ほらぁ!」
あざかみさんが嬉しそうに声を弾ませると、警備員さんは「じゃあ別に構いませんけど……」と言ってあざかみさんを解放してくれた。
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