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ゴールデンウィーク。
風が心地よいと感じた日。
文房具を買いに行こうと、思い立って一人で街に出た。
意外とかわいい雑貨なんかが売っている店もある商店街は、結構お気に入りだ。
ぶらぶらしていると、車道を挟んで向こう側の歩道を並んで歩く二人連れに目が留まった。
佳月と知らない女の子……。
ポニーテールを揺らして、佳月とおしゃべりしているその表情はわからなかったけど、その子に明るい笑顔を向けて、楽し気に話している様子の佳月の横顔はばっちり見えた。
──なーんだ。その場所は、私のものじゃないんだ。
そんなことを考えている自分に気づいてハッとする。
何考えてるんだろう。
そんなことを思いながらも、心にみるみる広がる苦いものやモヤモヤしたものは、しっかり感じていた。
わかっている。
わかりたくはないけど、
わかっている。
……佳月を好きだと自覚したのが、失恋と同時だったということだ。
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