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金曜日。
隣の席の佳月と組んで日直だった。
いろいろ用事を言い付けられる日で、終わった時には、教室に佳月と私しか残っていなかった。
「日誌、私が書いて先生のところに持っていくから、先帰ってくれていいよ。」
日誌を開きながら、そう言ったが、佳月の反応がなかった。
不思議に思って顔を上げると、前の席の椅子に跨がり、背もたれに腕と顔を乗せ、じっと私を見つめる佳月と目が合った。
「うわっ!」
びっくりして、思わずのけ反る。
佳月は、そんな私を見て、クスッと笑った。
「芽惟」
名前を呼ばれて、ビクッとする。
佳月が私の名前を呼んだのって、いつぶりだろう。
いつもは、「お前」とか、「ねえ」とか、「なあ」とか、そんなのばっかりだったのに…。
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