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 次の日の朝、秋鹿が家から出ると、 「あーちゃん!」   松虫が手を振って向こうから駆け寄ってきた。 「草太君、」 「おはよう。ちょうど良かった、一緒に行こう」 「うん」  待ち合わせをしていた訳ではなかった。偶然だが一緒に登校出来るとは嬉しい。  松虫は前の学校の物なのか、手提げ鞄を肩に掛けている。秋鹿たちは肩掛け鞄だった。制服も前の学校のらしく、形は同じだが(ボタン)が違う。まだ色々と揃わないのだろう。 「学校にはもう慣れた?」 「まだ一日しか行ってないよ」 「あ……そっか。そうだね」  秋鹿の間の抜けた質問に、松虫はおかしそうに笑った。莫迦なことを云ってしまったと、秋鹿も照れ笑いをする。  昨日はちっともそんなことはなかったのに、今日は少し緊張してしまう。一日経って興奮が落ち着いたからか、離れていた分の時間の隔たりが、二人の距離感を掴み難くしていた。 「あーちゃん?」」  「え?」 「もしかして、まだ起きていない?」  ぼんやりとしてしまったようだ。
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