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「疲れた? 秋鹿。今日も忙しかったですものね」
「ううん、そんなことない。大丈夫だよ」
秋鹿はあわてて笑顔を見せて、調理に戻る。今のハルに余計な心配をさせてはいけない。自分が元気でいないと、おばあちゃんは僕のことまで心配してしまう。しっかりしなくてはと、秋鹿は思った。
何か気分が愉しくなる話題はないだろうかと考えて、そうだ、と、思いつく。
「ねえ、おばあちゃん」
「なあに、秋鹿」
「冬は新作のケーキを作らないの? 秋の時にも、新しく考えたでしょう、」
それでスイートポテトのケーキを作って、店で出したのだった。
「ああ、そうですね。もう冬のケーキを考えても良いですね」
秋鹿が切った野菜を、ハルが鍋で炒めていく。バターの香りが立ち上った。
「去年は何を作ったの?」
「去年は、ナッツとドライフルーツのケーキでした。クリスマスに食べる、シュトレン風にしたの」
ハルは木べらを動かしながら答える。秋鹿はサラダに取りかかった。
「秋鹿はどんなケーキを作りたいですか?」
うーん、と、秋鹿は悩む。
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