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 三連休最後の日も、秋鹿は朝からハルの店を手伝った。  二人でケーキを作る。ハルは本当にいつもと何も変わらなかった。昨日、夏紀と一緒に此処(ここ)で朝食を取ったのが、秋鹿には嘘みたいだった。  夏紀の(からだ)の具合は大丈夫だろうか。昨夜、無事に家に着いたか訊ねるメールを送ったが、返事が来ない。寝込んでいなければ良いけれどと、秋鹿は小麦粉を振るいながら案じた。  気になることは、まだあった。祖父のことだ。ハルが祖父のことを憶えていないといった夏紀の言葉は、事実なのだろうか。ハルが隠しごとをするなど、信じられない。しかしだからこそ、それが真実だとしたら、とても重大な理由があるに違いない。  ケーキをオーブンに入れると、「秋鹿」と、ハルが秋鹿に呼びかけた。 「なあに、おばあちゃん」  秋鹿は使い終わった調理道具を流し台に運んだ。スポンジを手に取り、洗いはじめる。 「何か私に、訊きたいことがあるんじゃないですか、」 「え……?」  秋鹿はハルを振り向いた。ハルは微笑んで、ミトンを外した。 「昨日、夏紀が私に云ったことが、気になっているんじゃないですか? 違いますか、秋鹿」  心を見透かされ、秋鹿は視線を床に落とした。だがわざわざハルがそう云ってくると云うことは、(たず)ねても良いと云うことなのかも()れなかった。ハル自身も胸の内を、さらけだしたいのかも識れない。
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