プロローグ

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2029年11月…… 原子力事業関係者及びマスコミが注目する中、メルトダウンを起こした東京電力福島第一原子力発電所の原子炉で、スターフィッシュと名付けられた大型ロボットが起動した。廃炉システム開発機構の自動ロボットによる核のゴミ……、いわゆるデブリの取り出しを行うスターフィッシュ計画である。 ロボットは計画通りの能力を発揮し、作業は順調に進んだ。そうして年を越すと、安堵した国民は関心を失い、マスコミもそれを取り上げることはなくなった。 2030年3月…… ドーンという爆発音とともに原子炉建屋が揺れた。離れたコントロールルームが揺れるほどの爆発だった。 スターフィッシュを吊り下げたレールはねじ曲がり、スターフィッシュの足も踏ん張りが効かず、格納容器の底に落ちて動かなくなった。デブリ吸い込み管は砕け散り、デブリの粉が原子炉建屋周辺に飛び散った。 この事故報告の際、廃炉システム開発機構の岩城翔太(いわきしょうた)理事長は白石栄一郎総理に対して、放射線に強い人間をつくり事故現場での処理に当たることを提案した。 しかしこの時は白石が一笑に付し、提案は黙殺された。
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