廃墟

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計画通りに観測機器を設置したニュータイプ達は敦賀原発を深夜に離れた。調査しなければならない核施設は多く、核ミサイルの着弾地に近い後半の施設ほど被害は甚大で対処方法も予想が出来ない。調査が終わった後にデブリの改修や施設の解体撤去がある。時間は1秒でも惜しく、深夜も移動した。 〝もんじゅ〟は、敦賀半島の西側にある。敦賀原発からそこに行くには、一旦、内陸部に戻り馬背峠トンネルを通るのが近道だ。しかし、核ミサイルの爆心地側に向いたトンネルの出口は埋まっている可能性が高かった。そこでニュータイプ達は、敦賀原発の敷地を通り抜け、半島中央の山の尾根を伝って〝もんじゅ〟の裏手に出ることを選んだ。大木はチェーンソーをもって切り倒し、そうでないものは踏み倒していく。 ドドーンー……、3702号が切り倒した杉の大木が弾んだ。 「ようし、吊り上げてくれ」 大木の根元付近にワイヤーをかけた3704号が合図する。 「OK」 車内の3706号がクレーンを操作して大木を進路の横にどけた。 「あとは、あれだな……」 1号車のサーチライトが照らす次の大木に向かって3702号と3704号は藪の中を先に進んだ。その後を追うように3台のNBC偵察車は雑木を押し倒しながら山の尾根を前進する。バリバリと樹木が折れて泣くような音がし、車両の後には草木の匂いも生々しい轍が生まれた。 「環境保護団体が見たら悲鳴をあげそうな行為だな」 スピーカーから3703号の声がする。 「樹木を切り倒すことを反対する前に、地球上に核をばらまく連中に抗議すべきだ」 3701号はモニターの中で倒れる大木に眼をやった。
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