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3701号は廃墟を出た。核燃料プールに近づくと放射線計の針はガンと跳ね上がったが、可視光通信機から3703号と3707号の声がして心強かった。
「3703、センサーは設置できそうか?」
「3701か。……そっちこそどうだった?」
「水酸化ナトリウムは跡形もなく消えていたよ。核燃料もなかった。廃炉作業の中間報告書は信じてもよさそうだ」
「そうか。それは良かった……。こっちはだめだよ。まだ核反応が続いている。地下水が流れ込んでいるようで空焚きにはなっていないが、センサーは降ろせそうにない」
「そうか……。それなら空気中の測定器だけにしよう」
「了解。それなら、あとは電源だけだ。3705がケーブルを敷くまでには設置が終わる」
「分かった。3705、そっちはどうなんだ?」
3701号は燃料プールの縁で下を覗きこんでいる3707号に手を振り、足を止めずに3705号が作業をしている場所に向かった。
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