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NBC偵察車に戻った3701号は、出発に先駆けて車両のチェックを命じた。
「クレーンカメラの反応がないぞ」
機器をチェックしながら3702号が報告した。
「了解。線量の低い場所に移動してから交換しよう。2号車、3号車は?」
「異常なし」
スピーカーから声がする。
「3701、本部からよ。悪い知らせのようだわ」
3710号の声がし、続いて「〝もんじゅ〟の調査、ご苦労だった。つい先ほど、偵察衛星からデータが届いた……」本部から雑音交じりの声が届く。彼らからもたらされた情報は、県道から美浜原発の管理棟に向かう全長400メートル強の丹生大橋の一部が落ちたというものだった。衛星写真で判明したものだ。
「陸地伝いに旧道を行くしかないが……」
「すると、管理棟に入るには3号炉の目の前を通らなければなりません」
「3号炉の被害状況によっては、大変な作業になる」
「管理棟が無事ならば……、もし、壊れているなら行く価値はない」
ニュータイプ達が思い思いの意見を言うと、本部から返事がある。
「あそこは旅客機が落ちても無事なように改修してある。爆風程度で壊滅しているはずがない」
「橋が落ちているというのに、ですか?」
その疑問に、本部は沈黙した。
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