異物

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2050年4月、海上自衛隊特務課、機密部隊ゴーストを指揮する(えびす)ヨウイチ二等海佐が陸、海、空と三軍を指揮下に置く統合幕僚本部に呼ばれた。 彼が指揮するゴースト部隊は、2029年に実戦投入されたナイトメアシステムを運用する部隊だ。 ナイトメアシステムは、電波や音波に代えて感性の優れたサイコファイターと呼ばれる人間の思念を増幅して敵の位置を探り、かつ、ミサイルをそこに向かって誘導する。サイコファイターが持つ敵や兵器に対する怒りや恐怖が強いほど、ナイトメアシステムは効果をあげる。 戎自身が、初代のサイコファイターだが、システムは年々改良、進化しており、サイズの上でも保有エネルギーの上でも、より小さな目標をピンポイントでたたくことができるようになっていた。それは、彼が実戦デビューした当時の威力を格段にうわまわっていて、大気圏外の人工衛星を撃ち落とせるほどだ。 作戦会議室に並んだのは、山本不二男統合幕僚長と七海昭信海上幕僚長、陸上幕僚長、航空幕僚長らのほか数名の幹部だった。
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