5人が本棚に入れています
本棚に追加
とある依頼
わたしがその依頼を受けたのは、夏も終わりの季節でした。
わたしの家は代々強い霊能力を持つ者が生まれる為、家業は霊能力を使った仕事です。
主に心霊現象と思われることを解決するのが、わたし達の役目だと思っていました。
そういうふうに家族からも言われ、周囲の人達にも言われ続けてきたからです。
わたしの師にあたるのは、実の母親です。
その母から伝えられたのが、今回の件です。
母の友人の、そのまた友人の娘さんが、ちょっと困ったことになっているとのことでした。
実際、家を訪ねても良いと言われたので、わたしはその家に向かうことにしました。
家は普通の一戸建て。
しかしどこか黒く、重いモヤみたいなモノが家を取り囲んでいます。
手首に巻いている水晶の数珠を握りしめ、わたしはインターホンを鳴らしました。
出迎えてくれたのは、母の友人のそのまた友人さんと娘さんの二人。
二人とも暗い表情で、居間に通してくれました。
そして話を聞きます。
まずはどんな現象に悩まされているのか。
大学生だと言った娘さんは、重い口を開きます。
何でも今年の夏休みに、サークルで飲み会があったらしいです。
居酒屋で飲んだ後、みんなでカラオケに行き、日付が変わりそうになって慌てて解散をしました。
ですが娘さんを含めた数人の学生達が、帰り道の近くに墓場があることを言い出しました。
最初のコメントを投稿しよう!