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「お夕食は1階にある食堂で…ただ、旦那様はご病気でお部屋から出る事はありませんのでお部屋にお運びしております。ですから実質はお嬢様お一人になります。」
「渡瀬さんは?」
「渡瀬さんはこの家の使用人の立場ですので、使用人は別に食堂があります。」
「じじじゅ?」
「侍従長ですね?」
くすりと笑い、実知は続けた。
「侍従長も同じです。調理部屋に使用人専用の食堂がありますので、そちらで食べます。休みの日は家で食べますし。」
「実知さんも?」
「はい。18時に旦那様のお食事になり、19時、私達の休憩時間としてお夕飯を戴いております。」
「何時まで働くの?」
「何時、と言いますか、急に呼ばれた時は対応しますし、基本は21時迄ですが、住み込みですと余り時間は…。」
「忙しいのですね。あ、私、引き止めて…大丈夫?」
実知は目の前のお嬢様を可愛らしく思い、笑って返事をした。
「私は今日よりお嬢様の専属ですので、お嬢様のご用件が最優先でございます。
いつでもお呼び下さい。」
「……それって、実知さん的には、ラッキーって感じ?それともこんな仕事、やってられないーって感じ?」
「ふふっ…そうですね。初めは大丈夫かな?という気分でしたが、今はラッキーと、思っております。お嬢様は…お優しい方とお見受け致しましたので。」
「お嬢様はやめて欲しいな。優しいかどうかはまだ分からないでしょ?私も実知さんで良かった。厳しい人でお作法とか叩き込まれたらどうしようかと思ったの。」
笑いながら言うと、
「ああ、それはお怪我が治り次第、マナーの先生が来ると思いますよ?」
と実知に返されて、青くなった。
「この家には何人位の人がいるの?」
「侍従長、あ、経理担当者ですが、その下に直属で二人、男性です。経理部屋にいますので顔を見る事はほとんどありませんが。9時出勤の17時帰宅です。
お手伝いは7人です。週休を頂きますので、通常いるのは5人です。
婦人と呼ばれている鈴木さんが1番長い方で、旦那様のお部屋に自由に入れるのもこの方だけです。それとみんなの食事を用意する、料理室に料理人が3人おります。
料理長はご家族と右隣の家に住んでおります、他のお手伝いもそこに。
料理人の二人は通いです。侍従長ご家族と、渡瀬さんのご家族は左の家にお住みです。」
聞いていてため息が出た。
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