408人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
さながら…カッコウに落とされた卵の様に、私たちは施設の前に置き去りにされていた。
私…しおりは、高級な服に、手触りのいいお包み。
洋服には刺繍、「しおり」。それだけが手掛かりで、私の名前。
平和で、情報の溢れるこの時代に、どうして親が見つからないのか?
見つけられたくないのだとしたら、私はいらない子だったのか…泣きたくなる。
そんな時、側にいてくれる親友……同じく、カッコウに落とされた卵。
しお……しおりの3日後に同じ場所に捨てられていた。汚れたお包みに包まれて、洋服も同じだった。
手掛かりは何もなく、酷く痩せていて元気もなかった。
母親らしいと思われる人の、メモが服に入っていた。
震えた字で、「連れて行けません。よろしくお願いします。-- - 」
最後は、何かが書いてあったであろう3文字の汚れ。
何処となく、しおりに似ていたのでご縁と思った施設長が一文字とり、「しお」と名付けた。
私達は、姿も似ていた…気もあった。
二人でいる事が幸せだった。
哀しみの中の光…お互いの存在がそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!