佐伯家

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1週間経過して、渡瀬が部屋に顔を出した。 「この1週間、旦那様のお部屋への訪問、ありがとうございます。 上手くやって頂いているようで何よりです。」 「私はまだ怪我人なの。お祖父様の部屋以外は動く気は無いから…。」 ツーンとして答えた。 「さて、これよりしおりお嬢様にこの家の家系図をお話し致しましょう。 お祖父様がお具合のいい日に、親戚方にしおり様をご紹介したいと、申されております。事前にある程度、知っておいた方がいいでしょう。」 「親戚?」 「言い換えれば、しおり様がいなければ財産が手に入る方々です。」 渡瀬はそう言うと、テーブルの上に手書きの大きめな紙を出した。 「簡単ではございますが、書いてまいりました。」 名前の横に書いてある…似ているかどうかも分からない小さな似顔絵に吹き出した。 「小まめですね?」 「会えば一目で分かります。上手いという事もその時に…。ご親戚と言いましても、しおり様が消えて得をする方は主にこの両家です。」 指をさし続けた。 「お父さまにはご兄弟はおられません。旦那様には妹さまが二人。そのお二人のお子様はそれぞれ、会社におられます。橋本家、長田家、でございます。特に長田家、こちらには双子の兄弟がおります。頻繁にお小さい頃からこの家に出入りされています。 旦那様に取り入る為と思います。」 静かに説明は続いた。
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