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「すぐ下の妹さま、長女橋本 孝江(はしもと たかえ) 様には長男長女のお子様がお見えで、長男様は会社の経理部長という地位におります。お子様は二人、二人とも20を過ぎていて嫁がれております。この家にもお正月位しか参りませんでした。
興味がないのでございましょう。
こちら、次女の長田 秋江(おさだ あきえ)様には二人の女の子と男の子がおられて、男の子は会社で専務をしています。この方には、娘さんと双子の息子さんがおられますが、
この双子が今のところ厄介と思います。」
「頻繁に来る…?」
「はい。現在、19歳、大学生ですが、卒業したら旦那様の会社に入る予定です。」
似顔を見ながらしおは聞いた。
「お祖父さんは会社からは身を引いたんだし、個人資産が莫大でも、法廷相続分?あれが決まっているのだし、しおりをどうにかしても意味ないんじゃない?」
「親兄弟で法廷分を主張すると言うお話はよく聞きますが、本来、子に行く取り分を兄弟が法廷分だと要求する事はあり得ませんよ?
旦那様に取り入って遺言書に名前を書いて頂くか、しおり様が消える事ですね。
旦那様の兄弟に権利が移動します。」
「ふ~ん、じゃあさ、お祖父さんに言って少しおばさん方にも分けてあげて?って遺言書を書いてもらったら?独り占めしようとするから揉めるんでしょ?」
「人間というのは不思議な生き物なんですよ?手に入ると思っていない物が入るときは喜びますが、手に入ると思っていた金額より減ると、どうやったら減らないかを考えるのです。この家の方は旦那様にもしもの事があれば半分だと思われていた。
そこに孫が出て来た訳です。しおり様は邪魔以外の何者でもありません。」
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