佐伯家

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「しおりが危ない、というのは理解しました。この人たちは親戚だけど気をつけろ、と言うことも分かりました。では…この家の人はどの程度信用したら良いんでしょうか?」 「この家、と言いますと?」 「この家にいる人が全てしおりの味方とは言えないでしょう?例えば、この、長田さん?秋江さんの息のかかった人がお手伝いでいるかもしれない。お手伝いなら、毒殺とか出来そうですよね?ほら、ドラマとかあるでしょ?」 「テレビを見ておられないと…実知から聞きましたが…。」 渡瀬は呆れ顔で呟いた。 「別に実知さんに口止めはしてないからいいけどね…。情報が横流しされているのは、いい気分ではないですね。ここ1週間は、私はここでテレビばかり見ているんです。」 「実知は信用して頂いて大丈夫です。クリーンです。逆に何も知らな過ぎてハラハラします。しおり様だと信じております。そのままにしておいて下さい。 婦人の鈴木は孝志様が生まれた頃からここにおります。裏切りはありません。 他のお手伝いも、私自身が吟味して入れた物ばかりです。ただ…。」 「ただ?」 「侍従長とその下の方は何とも。侍従長は旦那様がお雇いですが、下は侍従長に一任されています。侍従長が妹様に懐柔されていても、私には分かりませんし…。」 「じっじじゅ……いた……。舌噛んだ。」 渡瀬は椅子に座ったままの状態で下を向き、肩が震えていた。 「笑わないでもらえます?」 「も、申し訳…くくくっ……申し訳ありません………。」 「まだ笑ってますよ? それで、侍従長は経理でしょ?経理部屋?っていうとこから出てこないって聞きましたよ?」 「出て参りますよ?旦那様のお部屋には出入り自由です。遺言書を書かせる事も出来る方でしょうね。」 「味方かどうかはわからない?」 「そうなります。」 「ていうかぁ……渡瀬さん、は…本当に味方なの?」 渡瀬の目を真っ直ぐに見て聞いた。 「しおり様が邪魔なら、見つけた時点で消しています。」 笑顔で言われてしまった。
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