第1章 境界線

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扉は、少し重くなかなかあかなかったが、脇にはさんだ本が落ちた頃には、扉は開き中に入れた。 扉のむこうが、両親の書斎だったのを後で知ることになる。 子供の記憶がチラ、チラリと覗かせて目の前に子供の頃の自分が歩いていた。 子供の頃の自分を、追いかけながら扉を開け中に入った。 両親の書斎には、年代物の書物が棚の上の紙箱の中で静かな時が流れていた。 埃の帽子に守られた色あせない白い紙が束になって頭上に落ちた。  「あっぃッう。」 白い紙と箱が散らばり、埃でむせた。  「ゴホッゴホッ。」 下に散らばる白い紙の中で、文字が立体的に見える紙が1枚何故かある。 よく見るために拾い、自分の部屋に隠した。   《ヤバッ》 僕は、慌てて書斎のかたずけに戻った。 紙箱を元の位置に戻し、あらかた埃を取ると部屋を後に・・・  《んッ!》 机?台の上にある大きなカタマリは、僕にわざと見せているようにきらびやかな光りをはなっている。
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