第1章 境界線

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 「これって紫水晶・・・未来を予知すると言われている・・・なんでこれが?」 僕はあまり、水晶の事は知らないが、父の書斎の棚から、古く焦げ臭さがまじる大きな本に記されていた。 漢字を覚えたての僕が、一番下の隅に隠れるようにあった本に、話したのはかなり昔。  「大丈夫、痛くしないよ。」 小さな子供の頃になぜあの言葉を発したか未だにわからない。 でも優しく優しく包むように、胸に抱いた事は自分の意思だった。 -------------      --------------- 僕は引き寄せられるように水晶に顔を近付けた。 水晶が何か発する訳もないのに・・・  《僕に問いかけているのだろうか?》 水晶の塊からポロリ、欠片が落ちた。 水晶の塊は、見た目はかわりなく見え、僕は欠片をポケットにしまって部屋を出た。  「バタン」   書物と水晶の欠片・・・ 関係があるのかないのか それとも・・・古い本・・・
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