ポツンと置かれた本たち

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 最近、毎月、同じ日に不思議な出来事が起こっている。 同じ日に店頭の、週刊誌が平置きしてある場所に古本が置いてあるのだ。  それも、かなり使いこまれた様子の、くたびれている本だ。  その種類は童話から、小説まで、今まで半年、ずっと続けて置いてある。  私はもうすぐ還暦を迎える。最近の本屋の景気は悪く、私の店のような小さな町の本屋では、どれだけ重版がかかった本を置いても、ときどきお客がやってきてはたまに買っていくだけで、どんどん在庫が溢れてしまう。  還暦を過ぎたら、もうこの店も閉じてしまおう、そう私は考えていた。  そんな頃だった。おかしなことが起こり始めたのは。  ある晴れた日。朝、店で一番売れている、週間少年漫画の雑誌を店頭に並べると、私は店内の清掃をしてから、ずっと一日レジに座っていた。    その日は、お客も、週刊誌を買っていってくれる、子供たちが来て、いつもより賑わう店内だった。  夕方六時になると、私は店を閉めようと、外に出た。すると、その週刊誌の売れ残っている場所に、ポツンと、絵本が置いてあった。 『ドン・キホーテ』  私はそれを不思議に思って手に取ると、それはもう、くたびれていて、中もいたずら描きが描かれているような絵本だった。 「誰かの忘れものかな?」  私はそれくらいにしか思わず、店のシャッターを閉めると、その絵本を店の中に持って行った。誰かの忘れものなら、きっと取りにくるだろう。  私はそう思って、その日はそのまま深く気にもとめず、一日を終えた。
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