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陽射しと新緑が眩しい頃、
彼の斜め後ろの席になった。
右目の下に小さなホクロがあることに気付いた。
三時間目が始まるとすぐにリュックに手を突っ込み、お決まりの様に分厚い教科書を目の前に立て環境を整え始める。そして箸先に山盛りのご飯を乗せ口の中へ消えていく。
大きい弁当をたいらげるまで3分を要さない。
先生が振り向くと動いていた耳がピタリと止まる。
そして、たまに零し慌てて拾うと何もなかったかのように授業を聞いている振りをする。
ただ空腹を満たしているだけで味がしているかは謎だ。
すぐに彼の周りには誰かしらいるようになった。
よくふざけ、よく笑い、表情がコロコロ変わる彼はいつしかクラスの中心になっていた。
それでも彼はほとんどを席で過ごしていた。
次第にその背中はソワソワしなくなっていた。
汗が流れるのがくすぐったいのかタオルで頸を拭うのが癖のようだった。
それでも首にかけるようなことはしない。
腕には日焼けでできたシャツの線が濃くなり、気になるのか途中から肩まで捲る様になった。
彼が持つうちわの風で何度となく僕の前髪が揺れる。
「悪い。くせぇ?」
匂いなんて気にしたこともなかった。
「人間生きてりゃみんなくさいっしょ」
僕の言葉に、だよな!と大きな口を開けて笑った。
ただそのやりとりのみで暑過ぎる夏は終わりを迎えたが、その熱気はしばらく後を引いていた。
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