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部屋というよりは広間といったほうが適切かもしれない。
目を惹くのは規則正しく並んでいるカプセルだ。
一定の間隔で置かれているそれらは、人ひとりが何とか入れそうなほどのサイズ。
側面にはボタンがいくつもついており、回路図のような模様も描かれている。
それが少なくとも50基以上はあるだろうか。
上部は厚手のガラスで覆われている。
どことなく棺のようで気持ちが悪い。
とはいえこれも調査対象だから中を覗いてみる。
どこかでは予想していたから、さほど驚かずにすんだ。
やはり中には人の姿があった。
仰向けになって目を閉じている。
寝心地の良いベッドにはとても見えない。
「おや……?」
俺は眠っている男の顔をよく見た。
額のあたりに赤黒い斑点がある。
死斑とかいうやつだろうか?
ためしに他のも覗いてみたが中身は同じだった。
誰もが同じ姿勢で横たわっている。
額の黒い斑点も同様に全員にあった。
事故か何かで死亡した所員の棺のつもりなのか?
それともこれ自体が研究の一端なのか?
どちらにしても長居はしたくないな。
「誰かいるのか?」
突然の声に、心臓が飛び出しそうになった。
「だ、誰だ?」
恐怖で声がうわずってしまう。
声のした方を見ると、何人かがこちらに歩いてくるのが見えた。
「調査に来たのか?」
そのうちのひとりが俺に問うた。
「あ、ああ。5日前に連絡が途絶えたらしくてな」
「そうか、あんたも同じか」
「ってことは、お前らも調査に?」
どうやら俺より先に調査に来た奴らしい。
そんな話は聞いていないが、もしかしたら上の連中が功を競わせるために黙っていたのかもしれない。
彼らは4人いるワケだがなぜか皆、宇宙服のようなものを着ている。
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