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episode.2
有紗ちゃんは、お母さんの妹の娘さん。
つまり私と有紗ちゃんは、いとこ。
はっきり言えば、私と彼女は、正反対な性格だった。
外で、たくさんの友達と一緒に遊ぶ彼女。
家で、それを羨ましそうに眺める私。
でも彼女は…有紗ちゃんだけは私をわかってくれていた。
私の脳裏に過ぎるのは、幼い頃の有紗ちゃんと私。
『ねぇねぇ!ミキちゃんも一緒に遊ぼうよ!』
屈託のない笑顔で、私に笑いかけてくるアリサちゃん。
『…ミキが行ったら、みんな嫌がるもん』
下を向いたまま、ぽつりとつぶやく私。
『どうして?そんなことないよ!わたしはミキちゃんと遊びたいよ!』
私の手を取って『ほら、いこ?』と言った。
グイグイと手を引き、私をみんなが集まっている方に向かう。
『ダ、ダメだよ!ミキなんかと一緒にいたら、アリサちゃんまで……』
〝仲間外れにされちゃうよ〟
『アリサちゃん、こっちこっちー!』
『あ、リンちゃん!』
その言葉が届く前に、一人の少女(リンちゃん、と呼ばれていた)がアリサちゃんに気づいた。
そして…
『ミ、キちゃん?』
私にも気づいてしまった。
あからさまにイヤな顔をした少女は、
アリサちゃんの腕をとって、私からアリサちゃんを遠ざけた。
『??リンちゃん、どうしたの?』
アリサちゃんが不思議そうな顔をして
リンちゃんに問いかけた。
その問いかけには答えず、私を睨みつけるようにして
『うそつきは来ないで!』
そう、言った。
その一言が、
怖くて、苦しくて……気づけば、私はその場から逃げ出していた。
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