第3夢

1/2
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

第3夢

男は困惑しながらも一旦冷静になろうと試みる。 「お前、俺が怖くないのか・・・。」 「怖くなんてないです!むしろ今すっごいワクワクしてます!!」 はぁ・・・と大きく息を吐く男。 「(何も考えてないだけの馬鹿か。一番始末悪い。)」 「私こんな何もない世界に退屈してるんです!弟子にしてくれませんか!? 魔法で戦ったりとか相手を倒したりとか異世界に行ったりとかしたいんです!」 不意の問いかけにまた深く息を吐く。 「退屈だと思うのは勝手だが、そんなのは今が平穏で幸せだから言える台詞だな。 飯があって寝床があって欲しいものは買い与えてもらえる。これ以上に何を望む? そんな幸せが当たり前だと思うから危険な真似をしようとしたりするんだお前らは。 考えてみろ、今目の前にあるそんな幸せがどれだけの奇跡かを。 戦争を知ってるやつと知らない奴の価値観は違う。今のお前と俺のようにな。 出来ることなら俺はもう戦いたくはないし敵の命も奪いたくはない。 意見の相違だ。ここでもし仮に俺がお前を弟子にしたとしても どーせお前のような奴はすぐに音を上げて帰るだ助けてだ騒ぐのがオチだ。」 正論にぐうの音も出ない奈緒。 「・・・・ごめんなさい。確かにその通りかもしれないです。」 しゅんとして下を向く。 今にも泣きだしそうな奈緒に焦る男。 「(言い過ぎたか!?ああもう人間の小娘は面倒くせぇ!!)」 「弟子は諦めます・・・せめて・・・名前だけでも・・・。」 ここで348年にもなる人生?で焦った男は最大のミスをする。 ※異性の人間に本名を名乗ってはならない。  名乗るのであれば出国時に指定した人間名のみ。  本名を名乗ってしまった場合それはその人間との主従関係の成立を意味する。 「分かった分かった!名乗るから泣くなもうほんとに!俺の名は青葉だ!!」 この瞬間、奈緒の右腕と青葉の左腕が光り出す! 「えっ!?何これ何これ!!」 ウッキウキの奈緒と異世界で出国時に名前を決めたこと、 本名を名乗った場合どうなるかの説明を受けたことを思い出す青葉。 「しまっ・・・!」 程なくして光は消え、奈緒の右腕には国旗のような模様と小さくMasterの文字が。 青葉の腕にはⅠという文字が大きく刻まれた。 「なにこれ・・・。すごい・・・漫画的によくある契約だこれ・・・。」 「やっちまったぁ・・・!!」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!