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今日の、デートもそう。彼を喜ばせたくて、全力で彼が喜んでくれる映画を選んできたのである。アクション系、ヒーロー系の洋画が大好きな彼。私も彼につられて最近見るようになったシリーズ、『リベンジャーズ・ゼロ』。その最新作が公開されたので、一番いい席のチケットを買ったのだった。私達の最寄り駅は一緒だが、映画館は五つ向こうの大きな駅の近くにある。電車に乗って二人で映画を見て、そして劇場の周辺でお昼を食べて買い物をするというデートコースだった。
ちなみに、デートプランを決めるのは私の役目であったりする。普通は男性がエスコートするものなのかもしれないが、私はあえて自分決めたいからと彼に申し出たのだった。理由は簡単。彼を喜ばせて、ポイントを稼ぎたいからである。少しでも自分の力で彼を楽しませてあげたい。そして、他の女の子なんか目に入らないくらい、私のことを好きになってほしい。
現金と言いたければ言え。生まれてこの方一度もしたことなどなかった、本気の中の本気の恋なのだ。いつか本気で、彼と結婚まで行きたいと思っているのである。そのために出来る努力を全力ですることを、一体誰が責められるというのだろうか。
――映画を楽しんで、彼が好きなパスタのお店入って、それから、それから……。
綿密に計画は立てた。きっと上手くいくはずだ。
私は拳をぐっと握って、力強く家の外へと足をするもの踏み出したのである。家から徒歩十五分先にある駅で、必ず先に行って彼を待っているために。
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