第1話―始まり―

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___ピピピッ.ピピピッ. パシッ... 「ふぁ...もう朝...?」 いつも通りの朝。同じ時間に起きて同じ時間に朝食を済ませ、同じ時間に支度を終えて家を出る。 「今日の天気とニュースは...と」 今日も毎朝お世話になっている朝のニュース番組を横目にいつものスーツに着替えていた。 「あ、今日雨降る...傘持っとかなきゃ」 私の名前は青柳 真奈。 学生時代死に物狂いで勉強等を頑張ったおかげで待遇の良い上流の会社で働かせてもらっている。 (まあかなり厳しいし忙しいけど...) 母親は私が生まれた時に亡くなって、中学までは父親と二人暮らしをしていた。 でもある日父は会社帰りに通り魔に刺されて、そのまま母のように私の前から消えてしまった。 ただ幸か不幸か... 私の両親は駆け落ち同然で結婚したため助けてくれる親戚はおらず、私は両親の保険金と遺産を手に安いアパートでコツコツ貯金しながら一人暮らしをしている。 そこで「父親と母親に恥ずかしくないよう生きる」という少し恥ずかしい目標を胸に日々を過ごしている。 「そろそろ出るか...」 いつもと同じ時間に家を出る。 この時間に出ればいつもと同じ時間のバスがくる。 ...そう、ここまではいつもと全く同じだったのに...
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