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「こんな...こんなことって...」
ポロ
涙が出てくる。
ポロポロ...
次から次に溢れてくる。
止まることをしらない涙は頬をつたって床なのかも分からない場所に落ちていく。
「...っ...うぇっ...ひぐ...」
泣きじゃくる私を見かねたのか、ミリィという神様は私の頬に触れて涙を拭ってくれた。
「...ごめんなさい、取り乱したりして」
「いいんじゃ...普通の反応どころか、よく抑えたもんじゃの...」
「いえ...」
そんなこと...と続けようとする前にハッと気付く。
「あの、私は何故こんな場所に?
死んだらその先は...なんてことはさっぱり分からないのですが、死んだ人をこんな風に一人一人見るはずはないのでは...?世界でも1日に何百何千とと死者がでていますし」
赤くなったしまったであろう目を押さえながら「神様」と名乗る人達に聞く。
「それはね、君がとても素晴らしい人だからだよ!」
素晴ら...しい...?
「早くに両親を亡くして身寄りもないのに今までずっと一人で頑張って生きてきた。
毎日の規則正しい生活に質素な食事、人助けも頻繁にするのをよく見かけるし、さらに僕が一番凄いと思ったのは、躊躇なく正しいと思えるものに向かって正義を貫くこと。
このご時世なかなかそんな人はいないし、思っていても実行する人なんていないだろう。
でも君は違った。ただひたすらに自分を信じ、皆を信じて真っ直ぐ進んでいた。」
「それが、どんなに凄いことなのかは誰でもわかるしのう...」
(凄い...?そんなに凄いことかな...)
自分の生き様を誉められた事などないため少し混乱してしまう
「それでも君は...こんな素晴らしい人間なのに君は...ついさっき亡くなってしまった...
神様は別世界に直接干渉することはできないんだ...たとえどんなに助けたくてもね」
「貴方は胸をはって「正しいことをした」とハッキリ言える人間なのよ。私達が保証する。」
「...それでも君は、人間界ではとても嫌われていた。」
その言葉で、私の見えなかった...いや、見ようとしてこなかった記憶がよみがえってきた。
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