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い
桜花びら沼地の泥に染まる。
続く足跡残す部隊。
沼から突き出た刀をかき分ける。
まだか。まだか。
声を掛け合う仲間たち。
春の陽気が照りつける。
沼を抜けると今度は崖。
足元に気をつけろ。
隊長がいう。
「はい。」
僕は隊長に返事をした。
僕だけじゃない他の仲間たちもだ。
崖のあたりは
新緑の植物たちが僕らを
待ち構えているようだ。
美しい桜も僕を誘うように
綺麗に咲いている。
崖の下に生まれた小さな花にさえ。
目に配るのをためらうほどに
高い崖だ。
しかし、
僕からみんなが離れてく。
足元から離れていく。
桜の目論見通り地に帰る。
遠ざかる僕の名前を呼ぶ声。
ここはジャングル。
古の戦場の成れの果て。
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