都市伝説 幻想図書館②

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「…まとめると、満月の夜か朔の日に人気のない廃墟や遺跡に現れる…か」 視線を手帳に落としながらそう呟いた。それが聞こえていたのか、下を見ているからか、オルメカは手にしていたドライヤーを机に置いてから彼の隣に座り、手帳を覗き込んだ。 「なになに?どゆこと?」 そこには、これまでの情報が書き込まれている。その中に、彼の思考が読み取れるメモがあった。 「満月の夜と朔の日…月が関係している…か」 書かれていたメモを読み上げる。ソロモンは隣でメモを読み上げたオルメカをちらりと横目に見て、また視線を手帳に戻す。 それから、口を開く。 「…古来より月には魔力があると言われている。俺の時代でもそうだった。もしこれが真実であり、月に魔力があるのならこの都市伝説の正体は、一種の魔法なんじゃないかと考えられる」 …魔法?幻想図書館そのものが…? 「じゃあ、出現情報があっても中に入った人の情報がないのは…」 「見つけられたが、中には入れなかった可能性…だ。何かしらの理由で中には入れず、その事が更に館内に関する憶測などの噂が出回った、とは考えられないか?」 オルメカは少し考え込む。     
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